医学の発達に伴って日本人の平均寿命も80歳前後となり、高齢化社会を迎えるようになってきました。
そこで問題となるものの一つに骨粗鬆症(骨がスカスカになる病気)がありますが、骨粗鬆症人口の増加に伴って、骨折の発症数が年々増加し、背骨(圧迫骨折)の骨折をよく目にします。
正常の骨の図 |
骨粗鬆症による圧迫骨折の図 |
脊椎の骨折を治療する場合、重力で骨がドンドンつぶれないようにしっかりとコルセットやギプスなどで固定を行い、安静にするのが一般的な治療です。
しかし高齢者の場合、長期間ベッドで安静にしすぎると足腰の筋力が弱って、リハビリが進まないという欠点もあります。
つまり折れた骨だけを考えるなら、安静にして折れた所に新しい骨が出来るのを待つのが良いのですが、体全体を考えた時には足腰の筋力が落ちる前に早く動けるようにしたいものです。
そこで、最近ではコルセットで固定して早めにリハビリを開始するというのが治療の常識になってきています。
しかし早めと言っても実際には骨が折れている訳ですから、『痛み止め』を飲んでいても痛みでなかなかリハビリが進まないというのが現状だと思います。
そこで漢方を使用するのです。『骨折に漢方?』と戸惑われる方も多いかもしれませんが、圧迫骨折は漢方薬が『得意中の得意』と言っても過言ではありません。西洋医学が無かった江戸時代以前はすべてこのやり方で治療していたようです。
一般的な整形外科の治療に加えて漢方薬を併用すると、治療がスムーズに進んで医療費もかなり安くなるという事を平成16年に横浜で行われた第55回 日本東洋医学会学術総会で発表させて頂きました。
治療のポイントは、初期に桂枝茯苓丸・桃核承気湯・治打撲一方・通導散などを使用して便通を良くする事です。
すると、入院治療を行った場合に2〜3週間で退院する事が可能となります。
また、中には安静にしすぎて足腰が弱った結果、「腰が重だるい」「時々痛む」と訴える方がありますが、八味地黄丸などの補腎剤を使用すると効果的です。
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